水色の写真館

暮らしの雑文

秋晴れの彼岸入り.

本日は彼岸の入り,家族そろってお墓参りをしました.季節も一気に秋の気配となりました. 秋晴れの日 それぞれの秋,私は相変わらず変わり続ける時空に日々翻弄され,出会いや別れの一コマに人生の悲しみや歓喜の涙を流しその日その日を過ごしています.長…

NEW YEAR'S EVE

感動的な出会い,信じがたい突然の別れ,胸詰まる永遠の別れ,命と向き合った1年が終わります.そして,辛く長いトンネルの向こうには一筋の光,燈明がありました. 新型コロナウイルスにも翻弄された2020年が終わろうとしています. 今までの当たり前ができ…

秋の気配.

南へ おじいちゃんの家は小さな町の小さな写真館でした.眼の前に清流が流れる写真館でした.ゴツゴツした岩のある川で沢山遊びました.私が小学生の時までありました.私の大切な記憶,「水色の写真館」です. 私は初孫でした,とても可愛がってもらいまし…

時空のいたずら.

12月も半ばとなりました. 今年になり,Hatena BlogやFacebookに飛ばす写真の記録用に利用していたInstagramに暖かいメッセージを沢山いただくようになり,それがきっかけとなって本格的にSNSとして楽しむようになりました.約1,500名のフォローをいただき,…

近代の歴史・日連係諸宗派について

日本における近代は明治維新(1868年)から太平洋戦争の終結の昭和20年(1945年)にいたる時代である. 明治政府は,国学・神道を指導理念とし,神仏分離を推し進めた.その結果,全国的な廃仏(排仏)毀釈が行われ,多くの僧侶が還俗,仏教への迫害や沢山の…

近世その2・法華信仰の特徴(仏教書の出版)

檀林教育が各地で盛んになると, noginogikun.hatenablog.com これに併せ仏教書の出版もなされるようになる.その中には日蓮聖人の伝記も刊行されるようになり,近世中期には庶民信仰の高まりとともに,開祖にたいする祖師信仰や守護神*1(鬼子母神・妙見菩…

近世に移行・檀林教育の特色(様々な弾圧を受けた歴史)

日本における近世は安土桃山時代・江戸時代をさし,室町幕府の滅亡(1573年)から明治維新(1868年)にいたる時代である. 日蓮宗は,明治9年(1876年)の「日蓮宗」という宗派名公称以前は,法華宗・日蓮法華宗その他日蓮党と呼ばれていた. 近世に移行する…

天台の教え(一念三千)

天台実相論(三諦・三観・三智・三惑の関係,化法の四教の関係) 天台大師智顗は『摩訶止観』の中で円教を中心とする実践,観門の教説を明らかにしている. 天台(法華)三大部である『法華文句』は教相(注釈書),『摩訶止観』は観心(修行方法),『法華…

Time of your life

浜田省吾さんのお好きな方,こんにちは.浜田省吾さんの歌詞の根底に流れる価値観にはよく仏教感があると言われています.すべてはそこにとどまり続けることなどなくいずれは過ぎ去っていくという刹那・悲しみ・痛手を歌い上げている,これらは「諸行無常」…

HANABI/ミスチル から10年,「SINGLES」で主人公は大人になった.

ミスチルの歌詞のお好きな方,こんにちは. 人間の欲のなかで最も強い激しい欲・執着を「渇愛」といいます.仏教のなかではもっとも苦しい煩悩であると捉えられています.そのひとつがこの煩悩(愛する人への思いを捨てること)でしょう.これら煩悩を克服す…

ゴータマ・シッダールタ

ゴータマ・シッダールタ太子の家系図ついて シャクヤ族*1(コーサラ国の属国):ネパール中部ターライ平原,カピラ城(王城),クシャトリヤ 漢訳律『五分律*2』による家系図(1)と阿含・『長阿含経』『起世経』による家系図(2)を比較すると, 父王に(1…

ブッダと釈尊

歴史資料と伝承 紀元前5世紀頃の古代インドでは,「仏陀」(buddha)は固有名詞としての釈尊を指すのではなく,目覚めた人,覚者の意味を持つ普通名詞であった. 仏伝(仏陀の伝記)資料は,仏伝のみを記述している経典(仏伝経典)として『ブッダチャリタ』…

名僧 日親上人について

(佐賀市 竹原山妙覚寺) 布教の特徴 日親は上総国(千葉県)の埴谷の妙宣寺の日英について出家し,後継者の一人としてエリートの道を歩む.妙宣寺は中山法華経寺を本山とする中山門流である.日祐(千葉胤貞の猶子*1)が本山の第三世貫主に着任し豪族千葉氏…

ミスチルに仏教観を説いているようなメタファーを感じた

最近,劇場版コード・ブルーがヒットしているからだと思いますがHANABIをよく耳にします.今までメロディばかりを楽しんでいたようで気づかなかったのですが,ミスチル(桜井和寿さん)の詩には仏教観を説いているようなメタファーを感じます. ミスチルは人…

日蓮教団の京都進出について

日蓮宗の京都進出と妙覚寺法式・寛正の盟約にみられる不受不施思想の特徴について 日蓮宗は,明治9年の「日蓮宗」という宗派名公称以前は,法華宗・日蓮法華宗*1と呼ばれていた. 日興が身延の地を去って(1288)から,身延の中心は日向,日朗,日昭は関東に…

天台の教え (八教)

天台大師は釈尊の説法を五時八教によって判釈した.この中で説法の形式・仕方を分類したものを化儀の四教(頓(とん)・漸(ぜん)・秘密(ひみつ)・不定(ふじょう))といい,内容・教理の面を分類したものを化法の四教(蔵(ぞう)・通(つう)・別(べ…

身延山における守塔輪番制について

日蓮聖人入滅(弘安五年十月・1282)後の教団組織は身延山にある聖人の廟所(墓所)の五輪塔を中心に図られた.六老僧(日昭,日朗,日向,日興,日頂,日持)を中心とする直弟子たち(18名)が毎月輪番で廟所を守るため,身延山久遠寺番帳が定められた(弘…

天台大師智顗(南北朝・隋)の時代

天台大師智顗年表

資料(漢文)講読,書き下し

(資料購読)「日朗*門流起請文」元応二年(1320)京都妙顕寺所蔵 本門寺日朗聖人御遷化之後、為二其御門弟法門弘通意趣一、守二本所遺跡一、可レ為二一味同心一、自今以後、若於二一人一有二法門不審一者、衆徒令二一同一相互令二論説落居一之後、可レ弘二…

中観思想,唯識思想

大乗仏教は釈尊が説いた縁起の教えを「空」の理論に精緻化していく.すべては変化し続ける(無常),不変の実体はない(無我),すべては連続性・関係性の中で成立(縁起)している,すべての存在は要素の集合体に過ぎないととらえる.大乗仏教の先駆の経典…

近世の日蓮教団の動向(不受不施,檀林,法華信仰・守護神仰)

日蓮宗は,明治9年の「日蓮宗」という宗派名公称以前は,法華宗・日蓮法華宗と呼ばれていた. 日興が去ってから,身延の中心は日向,日朗,日昭は関東に広く普及し,特に日朗は池上本門寺を中心に勢力を拡大した.また日常は下総に拠点を構えた.日朗の流れ…

日蓮聖人入滅後の門流の動向について

日蓮教団系譜図 日蓮聖人入滅から中世の時代(初期門流の動向) 日蓮入滅*1後の教団組織は身延山にある聖人の廟所(墓所)の五輪塔を中心に図られた.六老僧(日昭,日朗,日向,日興,日持,日頂)を中心とする直弟子たち(18名)が毎月輪番で廟所を守るた…

日蓮聖人の教え - 人間観

仏教の目指すものは,自己が自我を克服し悟りの境地「涅槃」を目指すものである.一方,聖人はまず社会,国家に目を向け,立正安国の答えを『法華経』に不退転の信仰をもって向かい合いそれを求めた*1.社会がよくなるためにはどうしたら良いか,そのために…

大乗仏教思想

「仏教学」とは,思想史(釈尊が説いた教えが,歴史においてどのように解釈されていったのか)に学ぶことである.紀元前後に起こった大乗仏教思想の基本的概念とその代表的経典を議論する. 大乗仏教の特徴は,貨幣経済など時代の変化・要請に対して民衆の教…

仏教の根本思想

根本思想(釈尊の真意),時間と空間を超えて不変で有り続ける教えとは何か. 釈尊の教え(悟り)は,「自己」自身に依り,諸々の従属*1や他の神による自己影響から離れて自己実現*2出来る唯一無二の教えである. その教えは,シッダールタ*3比丘が菩提樹下…

天台の教え(五時)

三照譬,五味譬,長者窮子喩 天台大師は,印度から渡ってきた膨大な仏教典類を分類・整理するため,化法の四教・化儀の四教の「八教」と「五時」の教判を説いた.「八教」の教判が,釈尊一代(50年:成道30歳〜入滅80歳)の説法の内容・形式(薬・処方)を分…

日蓮聖人の教え - 経典と本尊

仏教の目指すものは,自己が自我を克服し悟りの境地「涅槃」を目指すものである.一方,聖人はまず社会,国家に目を向け,立正安国の答えを釈尊が説いた教えであるという認識に基づき仏教経典*1に求めた.「本当の教主と正しい教えとは」の答えを聖人の遺文…

法華経における最大のメッセージである「如来使たれ!」について

如来使たれ! 法華経に特徴的なことは,法華経そのものへの信を説く点にある.「菩薩行」の根本に求められるのは,すべての者は成仏できるということに疑いを抱かない法華経への信である. 信じることによって,はじめて受け入れることができるのである(『…

初転法輪・仏教成立

梵天勧請 釈尊は成道,覚りを内に秘めてそのまま涅槃に入ろうとしたが,バラモン教の神梵天が,その悟りを他に説くよう勧め,釈尊は自身の涅槃の境地だけではなく説法を決意した*1. 「初転法輪」の教え(他を指導教化するための教え) ・中道の教え(偏執的…

成道について

〔釈尊出家29歳から成道(修行完成)35歳まで〕 出家したシッダールタ比丘は,二人の師匠*1に入門して禅定*2を極めた.しかし,心の安心を得ることが出来ず二人のもとを離れ6年間に及ぶ苦行を行う.そして菩提樹下で禅定に入り,一切の煩悩(悪魔の誘惑)を…